キラキラ☆プリキュアアラモード17話「最後の実験!変身できないキュアホイップ!」感想

あなたは17話で泣きましたか? 私はいちかちゃんが大好きです.

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既に2ヶ月経ってしまいましたが17話で描かれたテーマについて考えたいと思います.

本来なら最新の25話について書くつもりでしたが,このエピソードで感じた「宇佐美いちかの大好き」についてまとめない限りはプリアラの他の話についても書くことが出来ないと考え,先に17話の感想を書きました.

 

それでは考察をしていきます. 

 

 

 

 

 

 

17話はキラキラルをいちかが奪われ「大好き」がわからなくなったいちかが「大好き」を取り戻す話です.

 

 

プリキュアではしばしば敵幹部が何らかの主張,問題提起をしプリキュアが反駁することでそのエピソードのテーマを表します.プリアラ17話もその形を取っていると考えられます.

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いちかの回答が「わたしの大好きは心からいくらでも生まれてくる」であることはわかりやすいです.セリフとしては他の主張はしていませんので.

 

 

一方,ジュリオの主張はもう少しわかりにくくて「スイーツなんかで気持ちは伝わらない」と「どうして帰ってこない母親に愛されていると思えるのか? 何故そんな母親が好きなの?」2つに独立していて,主がどちらにあるかは一旦考える必要があります.

 

いちかの回答は直接的にはどちらの回答にもなっていない為いちかの回答からどちらが作品としての問題提起かを絞るのは難しいでしょう.

一方ジュリオが言いたいことについてはジュリオ敗北後の捨て台詞が「スイーツなんかで気持ちが通じ合うものか.俺はスイーツもお前も大嫌いだ!」であることからジュリオが主張したいことは「スイーツで気持ちは伝わらない」で間違いないと思われます.

 

それでは作品の問題提起は「スイーツでは気持ちが通じない」なのでしょうか?

 

私は違うと考えます.

 

最初に言った通りこの話は

「自分の中の『大好き』がわからなくなったいちかが,スイーツを作ることで『大好き』を取り戻す」

話であり,自己内で完結しています.

 

この葛藤の中に「スイーツで気持ちは伝わるか」は一切含まれていません.いくら問題提起の中に含まれていたとしても主人公であるいちかがそのことについて考えていないのであれば物語としての主題ではないでしょう.

故に17話はジュリオに「スイーツで気持ちは通じない,だからお前が母親に大好きと思われているのは嘘だ」と言われたいちかが後者の「母親に大好きだと思われているのは嘘」についてのみの結論を出す話です.

 

 

 

作品内で行われる討論が

「どうして帰ってこない母親に愛されていると思えるのか? 何故そんな母親が好きなの?」→「わたしの大好きは心からいくらでも生まれてくる」

になりましたが,これでもまだわかりにくいので少し飛躍させて

「お母さんは帰ってこないのになんで母親が好きかなんて答えられないけれど,わたしはお母さんが大好き」

にします.

いちかが意識していたか無意識かはわかりませんが外から見ると概ねこうなるしょう.

 

 

この結論は十分な説得力があるかと問われると疑問があります.一歩間違えれば「親から目に見える形で愛を与えられなくても,子供は親を愛さなければならないし親の愛を信じなければならない」という危険な押し付けにも捉えられてしまいます.

 

視聴者の感情も「いちかの大好き」より「子供を放置する親はよくない」に向いていて,事実私もAパートの時点ではジュリオの疑問はもっともだと思っていました.

 

むしろ17話は帰ってこないいちかの母親妥当性を与えられない話になっています.

 

 

しかし私はこの話が間違っているとは思えませんし,17話を観て泣きました.何故でしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いちかの「大好き」を感じたからです.

 

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ここまでは考察(またはそのつもり)の話でしたが,これは私の印象の話になります.

 

スイーツを作るいちかの姿,立ち上がって戦うホイップ,いちかの声,溢れるキラキラル,劇伴,挿入歌,SE,映像の全てから,

「何故いちかは母親を大好きでいられるのか」という疑問を打ち消すだけの「大好き」を感じました.

 

「帰ってこない母親を好きでいつづける娘」という説明は信じられなくても,そこにある宇佐美いちかの感情は間違いなく本物と信じられる.

 

そして「大好き」という無条件の感情の説得力を上げた結果,反論できない問題提起はむしろそれすら乗り越える「大好き」という納得に変わります.

 

 

 

17話は「宇佐美いちかの大好き」自体がテーマだと受け取れます.

 

 

 

 

一歩間違えれば「大好き」という強い汎用ワードで適当にオチをつけたという印象を持たれかねない展開を,これ以上ないという答えにしたこの17話を評価し,「大好き」と向き合い続ける限りキラキラ☆プリキュアアラモードは面白い作品であり続けると信じます.

 

 

 

 

 

 

【追記】

ところでスイーツに込めた気持ちがキラキラルという物理現象を起こす世界で,スイーツで気持ちが伝わるを議論するの無謀だと思うんですが,皆さんはどうですか?